幻の果実「ゆこう」

柚香(ゆこう)とは

「ゆこう」は柚が香ると書き、柑橘の産地であった上勝町では、香りゆず、酸味すだち、味ゆこうと言われ、そのまろやかさ、糖度の高さからすし酢やぽん酢として親しまれています。
しかし、青果市場では柚子の取引単価の方が高いため、柚子の収穫前の時期、果実が青い状態で収穫搾汁し、出荷されています。
生産量も少なく、八百屋やスーパーで果実として出回らないため「幻の果実」とも言われます。
浅野農園では完熟するまで収穫しないエリアを設け、ご用意させていただきました。
農薬や消毒を使わず、自然のまま丁寧に栽培しています。

柚香(ユコウ)は、柚子と橙の自然交配によって生まれた柑橘です。徳島県や高知県の山間部で古くから栽培されて来ました。
上勝町は、全国の柚香の生産量の90%を占めていますが、上勝町以外では、果実で流通することがなく、果汁としてポン酢に使われたり、果皮が七味唐辛子や薬味などの香辛料として用いられているぐらいです。柚香は、上勝町でしか手に入らない幻のローカルフルーツといっても過言ではありません。

幻の果実??

そんな使い勝手のいい「ゆこう」ですが、認知度はゆずやすだちと比べると圧倒的に低く、青果では世の中にほとんど流通していません。生産量は柚子の年間生産量に対して、たった1%!どおりでスーパーなどに出回らないわけです。青果市場では柑橘としてメジャーな柚子やすだちの取引がほとんど。取引単価も高いため、すだちや柚子の栽培農家も多いのです。柚香は認知度が低いこともあり、なかなか収入に繋がらないため栽培農家が伸び悩んでおり、結果生産量も増えないのです。希少な柚香はいつしか幻の柑橘と言われるようになりました。

青果で食べる

そのためか、いつの間にか柚香はすだちと柚子の収穫時期の間にまだ青い時期に収穫されるようになったいう話も…。実際に現状は、ほとんどが果実の青い状態で出荷されて搾汁したものが多く流通しています。
浅野農園では完熟してから収穫し、完熟ゆこうを販売したところ、多くの方から高い評価いただきました。

糖酸試験を行ったところ、10月はじめに収穫した青いゆこうの糖度は7度ちょっと、酸度は4.5度。一方11月過ぎて黄色く完熟したゆこうは糖度10.5度!!もちろん香酸柑橘なので酸度はしっかりとあり4.5度。香酸柑橘の中ではかなり糖度が高いです。これが完熟ゆこうの独特の味わい(ふんわりとした甘み・コクがあるのに後味さっぱりみないな)を出しているのかな。

私のおばあちゃんやその世代の人は、ゆこうを春まで貯蔵し、みかんの代わりに食べていたといいます。ゆこうは追熟したら美味しいけんなーと根っからの地元民は美味しい食べ方を知っているのです。でも手間や流通の問題でそんな食べ方は超贅沢品ですね。

まるごと食べる

ユズより香りに劣る「ゆこう」ですが、ふんわりとした香りと甘みがあります。また、写真でも分かるように、ユズより果皮が薄く、果汁がたっぷり。

幻のまま消えないために

コロナ禍には、ゆこうの買取価格が大幅に落ち込み、一部の農家からは、収穫して売るよりそのまま捨てた方がましと言っている方もいました…。実際に私も就農した時、ゆこうの木は残すか迷いました。でも、ゆこうは上勝町で昔から愛されてきた柑橘で郷土料理には欠かせないんです。ゆこう果汁を使ったお寿司や酢和えを食べながら、やっぱり柚香っておいしいなーと思うんです。懐かしい気持ちとともに。なくなってしまったら、悲しい。柚香を守るには・・・ゆこうで地域経済を活性できたら・・・!そんな風に思うようになりました。